養毛剤・育毛剤・発毛剤の違いを比較!薬機法による医薬品と医薬部外品と化粧品の分類解説
「育毛剤」という言葉は薄毛対策のための育毛商品として一番よく聞かれる名前です。ただ、よく気を付けて見てみると、育毛剤と似たような言葉で「発毛剤」「養毛剤」といった名前を目にすることがあります。これらは育毛剤の別名なのでしょうか。それとも育毛剤とは別の働きを持った育毛商品になるのでしょうか。今回はこの育毛剤・発毛剤・養毛剤の違いについて解説したいと思います。
この記事の目次
育毛剤とは?
■育毛剤の特徴
さて、まず一番ポピュラーな存在であると考えられる育毛剤について見ていきたいと思います。育毛剤についてはその名前からも分かるように薄毛症状の改善に役立つ商品になります。
薄毛の人の場合、髪の毛自体が細く・短くなってしまっており、それが薄毛につながっているケースが多くみられますが、育毛剤の働きはこのような細く・短くなっている髪の毛を徐々に太く・長い髪の毛に変えていくというものになります。育毛剤は現在生えている髪の毛をより丈夫なものに育てていくというのがポイントになります。
薄毛症状に悩んでいる人は頭皮で皮脂が過剰に分泌していたり、頭皮が乾燥していたりという頭皮トラブルを抱えているケースが多くみられるので、このような場合は、頭皮トラブルを改善してあげることが育毛につながります。育毛剤にはこのような頭皮環境を改善する効果を持っているものも多く存在します。また、毛根の部分を強化する働きを持つ育毛成分を含んでいる育毛剤もあり、このような育毛剤を用いることで、髪の毛を固定する力を強くして抜け毛を減らしてあげることが出来ます。
■育毛剤の代表CHAPUP(チャップアップ)
育毛剤と呼ばれる商品の代表として、人気が高いCHAPUP(チャップアップ)を紹介したいと思います。
このCHAPUP(チャップアップ)という商品には育毛成分としてM-034というものが含まれています。このM-034には体内の血行を改善する効果があり、頭皮の血行を良くする効果が期待できます。頭皮の血行が良くなると、髪の毛を作る細胞への栄養供給がうまく進むようになり、髪の毛が太く・長く育つようになります。
また、CHAPUP(チャップアップ)には薄毛の原因である5αリダクターゼの生成を抑制する成分も多く含まれています。
名前を挙げるならオウゴンエキス、ヒオウギ抽出液、ビワ葉エキスといったものになり、これらの成分が頭皮に作用することにより、頭皮環境を改善することができます。
そして、M-034には外毛根鞘細胞という細胞を増殖させる効果があります。
この外毛根鞘細胞は毛根部分の周辺に分布しており、髪の毛を支える働きがあり、それを増殖させることにより、髪の毛の土台が強化され抜け毛が増えるのを防ぎます。
■育毛剤を利用するメリットとデメリット
育毛剤を利用するメリットとしてはリーズナブルな費用で育毛対策をスタートすることが出来るということです。反対に育毛剤を利用するデメリットとしては後述する発毛剤と比較すると、育毛効果は緩やかにしか現れない傾向があるということです。
したがって、短期間で髪を生やしたいという人にとっては育毛剤の薄毛改善のスピードでは我慢が出来なくなるかもしれません。また、育毛剤については薄毛が軽度な状態であれば育毛効果を発揮しますが、髪の毛がほとんど無くなってしまっているような薄毛が進行した状態ではあまり効果を発揮しません。なぜなら、育毛剤の効果で長く・太く育つはずの毛髪自体がもうほとんど存在していないためです。したがって、薄毛症状がかなり進行している人であれば、育毛剤ではなく、後述する発毛剤を利用するのがおすすめになります。
■育毛剤の副作用
一部には副作用が報告されている育毛剤もありますが、多少頭皮トラブルの報告例がある程度で、発毛剤を利用することで発生する副作用と比較すると、ほとんど無いに等しいレベルのものになります。
また、ブブカに含まれているM-034のように副作用が無い育毛成分もありますので、副作用が心配でしたらM-034を配合した体に優しい育毛剤の利用をおすすめします。
発毛剤とは?
■発毛剤の特徴
続いて紹介するのが発毛剤です。
この発毛剤が育毛剤・発毛剤・養毛剤の3つの中では最も薄毛改善効果が高いものになります。この発毛剤と育毛剤の大きな違いとしては育毛剤についてはすでに生えている髪の毛を「育てる」ことしかできませんが、発毛剤については新しい髪の毛を「生やす」ことが出来るということです。
■発毛剤の代表例であるリアップ・フィナステリド・ミノキシジル錠
現在日本において発毛効果があるとして医学的に認定を受けている成分は限られています。
その代表例がミノキシジルとフィナステリドになります。
ミノキシジルという発毛成分はもともと高血圧の治療薬として作られたもので、このミノキシジルを投与した患者の体毛が濃くなったことから、発毛剤に転用されたものになります。
ミノキシジルは血管を拡張して血行を良くすることにより、発毛を促進する効果があると言われています。ちなみに、ミノキシジルを配合しており、発毛剤として市販されているのがリアップになります。
リアップX5プラスに関してはミノキシジルが5パーセント配合されており、市販の発毛剤の中では一番濃度が濃いと言っても良いでしょう。
ただ、ミノキシジルはリアップのようなリキッドタイプで用いるよりもタブレットタイプで服用した方がより発毛効果が高くなることが分かっています。このようなタブレットタイプのミノキシジル錠についてはAGAクリニックのような専門医療機関で処方してもらう必要があります。
また、同様にAGAクリニックで処方してもらう必要がある発毛剤にフィナステリドというものがあります。こちらのフィナステリドについては男性特有のAGAという薄毛症状の発生原因を抑える発毛剤になっています。
■発毛剤を利用するメリットとデメリット
発毛剤のメリットとしては薄毛症状が進んだ段階から使用を始めても、薄毛症状を改善する効果があるということです。具体的には活動を停止している毛母細胞を蘇らせて、髪の毛を再び生やすことが可能です。
しかし、逆にデメリットとしては副作用が発生した場合、深刻な問題を引き起こすケースがあるということです。
■発毛剤の副作用
発毛剤を利用する場合、最も懸念されるのが副作用が発生することです。
ミノキシジル・フィナステリドともに副作用の発生が報告されており、中でもとりわけ重い副作用が報告されているのがフィナステリドになります。フィナステリドは妊娠中の女性の体内に取り込まれた時に胎児を性的不能にする副作用の可能性が指摘されています。注意する必要があるのは女性がフィナステリドを経口摂取しなくても、指でつまむだけで皮膚を通して体内に入り胎児に障害を与える危険性があるということです。
また、当然このフィナステリドを服用する男性についても精力減退・うつ病といった副作用が発生するリスクがあります。
一方、フィナステリドと比較すると深刻性は低いものの、ミノキシジルにも副作用があり、赤み・痛み・かゆみといったような頭皮トラブルになるとの報告があります。
また、ミノキシジルにはもともと高血圧治療薬だったという背景もあるので、血圧を下げてしまう副作用があります。
これにより頭痛のような症状が発生することや、胸の痛みや最悪の場合心筋梗塞を引き起こすといった危険性も報告されています。
養毛剤とは?
■養毛剤の特徴
そして最後に紹介するのが養毛剤です。この養毛剤は育毛剤・発毛剤と比較すると、最も薄毛症状の改善効果は低いものになり、髪の毛に必要な栄養素を供給する作用があります。
生活習慣・食生活の乱れなどによって、髪の毛を作るのに必要な栄養素が不足しているといったケースではこの養毛剤が効果を発揮する場合もあり、フケ・かゆみといった頭皮トラブルを改善する効果も期待できます。
■養毛剤の代表例であるWAKA・バイオポーレン我牙
養毛剤というとやはり育毛剤と比較すると、知名度が低く、具体的な商品名が浮かんでこないケースが多いと思います。
ちなみに、養毛剤の中でも比較的人気を集めている商品にWAKA・バイオポーレン我牙があります。WAKAについては8つの生薬から抽出したエキスを全く水で薄めることなく配合して作ったという特徴がある養毛剤になります。
成分の濃度が濃い分、髪の毛に豊富な養分を与えることが出来ると期待されています。
次いで有名な養毛剤がバイオポーレン我牙で、花粉エキスを配合しており、この花粉エキスが髪の毛の生成に必要なビタミンを毛母細胞に届けてくれます。また、オタネニンジン根エキスやローマカミツレ花エキスといった成分が保湿効果や抗炎症効果を持っているため、頭皮に潤いを与えて炎症を抑えてくれる効果もあります。
■養毛剤を利用するメリットとデメリット
養毛剤を使うメリットとしては少し薄毛が気になり始めた程度の段階であれば、副作用の心配無く、薄毛症状を改善できる可能性があるということです。
逆にデメリットとしては効果が小さいため、本格的に薄毛症状が進行し始めたら、養毛剤だけで症状を改善することはまず不可能だということです。
■養毛剤に存在する副作用
養毛剤には基本的に副作用は存在しません。あるとしても育毛剤と同じで頭皮のかぶれ程度のものになります。
薬機法により「医薬品」「医薬部外品」「化粧品」に分類されている
上記の文章では育毛剤・発毛剤・養毛剤の特徴について述べてきました。
ちなみに、日本には医薬品の品質を確保する目的で設定されている「薬機法(旧薬事法)」と呼ばれる法律が存在しています。この薬機法においてはさまざまな医薬品を3つのタイプに分類しています。それが「医薬品」「医薬部外品」「化粧品」になります。
■医薬品
薬機法において医薬品に分類されるものはその名の通り、病気の治療や予防に効果を持つ医薬品として厚生労働省から認可を受けた医薬品になります。この医薬品はさらに2つのタイプに分類されることになります。
それが「医療用医薬品」と「一般用医薬品」になります。上記で紹介した発毛剤成分のフィナステリドなどがこの医療用医薬品に分類されることになります。また、一般用医薬品についてはさらに3つのタイプに分かれています。
それが「第一類医薬品」「第二類医薬品」「第三類医薬品」ですが、この区分けはその医薬品が持つ副作用等のリスクの高さによって行われています。副作用などのリスクが最も高いものが第一類医薬品、副作用などのリスクが比較的高ければ第二類医薬品、リスクが低ければ第三類医薬品といったような分類が行われています。
なお、ドラッグストアなどで市販されており、人気を集めているミノキシジル配合のリアップに関しては第一類医薬品というタイプに分類されています。
■医薬部外品
医薬部外品については医薬品のような細かい区分けは存在しません。多くの育毛剤についてはこの医薬部外品というものに分類されています。なお、この医薬部外品については病気の予防効果があるとして厚生労働省から認可を受けたものになります。
つまり、育毛商品で言えば、脱毛の予防や育毛には効果があると認められていますが、AGAのような薄毛症状を根本的に治療する効果は認められていないものになります。
なお、育毛剤の中には医薬部外品に分類されるものと後述する化粧品に分類されるものの2つのタイプがあります。
化粧品に分類される育毛剤と区別するため、この医薬部外品に分類された育毛剤については薬用育毛剤という名前を使うことが認められています。
■化粧品
最後が化粧品です。
この化粧品に分類されたものは病気の治療や予防の効果は認められていないというものになります。あくまでも「人の容貌を整える効果」のみが認められているものになります。育毛で言えば「毛髪を健やかにする効果」があるとされています。ちなみに、育毛剤には育毛効果があるとして厚生労働省から承認を受けている成分が含まれています。このような成分のことを「有効成分」と呼んでいます。
ただ、育毛剤の中には配合されている有効成分が少ないものも存在しています。このような育毛剤については、上記の医薬部外品として認定を受けることが出来ず、化粧品のカテゴリーに分類される場合があります。また、上記で紹介している養毛剤は全てこの化粧品のカテゴリーに入ります。
■医薬品の区分による違い
では、このような薬機法上の分類によってどのような違いが出てくるかについて見ていきたいと思います。
まずは医薬品についてです。
まず、医療用医薬品に分類された場合、その育毛商品はドラッグストアなどでは購入することが出来なくなります。
このような医療用医薬品に分類されているフィナステリドのような発毛剤を手に入れるためには、AGAクリニックのような治療機関を受診する必要が出てきます。なぜなら、医療用医薬品というのは医師の処方が無いと手に入れることが出来ないと規定されているためです。
一方で、一般用医薬品については市販されている医薬品になり、ドラッグストアなどで購入することが可能になります。ただし、これらの一般用医薬品についても第一類医薬品、第二類医薬品、第三類医薬品のいずれに区分されるかによって若干の違いが発生します。
特に第一類医薬品については扱いが異なってきます。第一類医薬品については薬剤師が販売しなければならないという規定があるので、ドラッグストア等でも薬剤師が不在の時間は商品があったとしても購入できません。
これに対して、第二類医薬品及び第三類医薬品は登録販売者でも販売が可能であるという違いがあります。ちなみに、医薬品に分類されている場合、どの区分でも共通して病気の治療に効果があることが認められています。したがって、広告の宣伝文句にて「毛を生やす」「発毛」といったような薄毛症状の治療効果をうたっても良いことになっています。
■医薬品と医薬部外品の違い
続いて医薬品と医薬部外品の違いについてです。
医薬部外品に分類されている育毛剤でも有効成分がたくさん含まれており、髪の毛を生やす効果に定評があるものも存在します。しかし、あくまでもこの医薬部外品に分類される育毛剤には病気の治療効果は認められていないため、「毛を生やす」「発毛」といったような薄毛症状の治療効果を宣伝でうたい文句にすることは禁止されています。ただし、薄毛症状の予防効果はあると言われているので、「発毛促進」「育毛」「薄毛予防」「脱毛予防」といったようなフレーズは使っても問題ありません。
■医薬品と化粧品の違い
最後に紹介するのは化粧品についてです。
化粧品に分類された一部の育毛剤と養毛剤には病気の治療効果も予防効果も公式には認められていないので、広告などで薄毛治療や薄毛予防の効果をうたうことはできません。したがって、このような化粧品の宣伝文句としては「頭皮や頭髪に潤いを与える」「頭皮を健やかにする」といった表現が用いられることになります。
自分の頭皮環境に合わせて養毛剤・育毛剤・発毛剤を使おう!
まず、つむじの辺りが薄くなってきた、全体的に髪の毛が少なくなってきたというようなタイプの薄毛で、まだ全然ハゲていると言えない程度であれば、生活習慣や食生活の乱れによって一時的に髪の毛が弱っているだけの可能性もあります。
このようなケースであれば、まずは養毛剤を使って十分に髪の毛に栄養素を供給してやることで様子を見るのが良いでしょう。ただ、生え際からこめかみに向かって薄毛が進行するM字ハゲ、頭頂部が禿げるてっぺんハゲの症状が出た場合、AGAの症状を発症している可能性があります。
この場合、放っておくとどんどん薄毛が進行する可能性があるので、育毛剤を使って薄毛の進行を食い止めるようにしましょう。
さらに、このAGAの症状が進んでしまい、AGA症状の中期から後期段階に突入して来ると、活動を停止している毛母細胞も増えてきます。こうなってくると、もう一度毛母細胞を蘇らせてやる必要があるため、発毛剤を利用する必要性が出てきます。
ちなみに、ハゲの進行具合をパターン化した「ハミルトン・ノーウッド分類」と呼ばれるものがあります。このハミルトン・ノーウッド分類を参考にして、Ⅲ型の段階に至っているようであれば、発毛剤の利用を考えるタイミングに差し掛かっていると判断してください。
養毛剤・育毛剤・発毛剤の違いを比較!薬機法による医薬品と医薬部外品と化粧品の分類まとめ
育毛剤・発毛剤・養毛剤の違いを端的に言うなら、「髪の毛を生やすためのもの」が発毛剤、「今生えている髪の毛を育てるためのもの」が育毛剤、「髪の毛の健康のために必要な栄養分を届けるためのもの」が養毛剤になります。もっとも髪の毛を生やす効果が高いのは発毛剤ですが、その分副作用も強いので使用には十分注意する必要があります。
また、育毛商品はそれぞれ薬機法のもとで、「医薬品」「医薬部外品」「化粧品」というカテゴリーに分類されることになります。発毛剤については医薬品、育毛剤については医薬部外品と化粧品が混在、養毛剤については化粧品という分類になっています。ちなみに、病気の治療効果をうたっていいのは医薬品に分類されているものだけという決まりが薬機法にはあります。したがって、発毛剤であれば「毛を生やす」「発毛」といった表現を取ることが可能ですが、育毛剤・養毛剤においてはこのような表現を用いることはできない決まりになっています。
なお、この育毛剤・発毛剤・養毛剤の使い分けについてですが、基本的に薄毛はそこまで気にならないけれども髪の毛の健康のために使用したいというのであれば養毛剤、初期段階の薄毛症状の対策であれば育毛剤、中期以降の段階まで薄毛症状が進行してしまった場合の対策は発毛剤を使うといったような使い分けをするといいでしょう。この記事を参考に混同しやすい育毛剤・発毛剤・養毛剤についての区別をしてみてください。